高額特定資産を取得した場合の特例と簡易課税制度
消費税改正(増税)間近です。
施行間近といった方が正しい言い方ですね。
立法は既に成立していますので。
混乱を招くでしょうね。税率が異なるのですから。笑。
その話題の消費税法を今回は整理してみました。
間違いが多いポイントに触れます。
訴訟が最も多い消費税法。ただし、法規集はとても薄いです。笑。
今回の分野は国税庁のQAみても流してしまいそうです。
消費税納税事業者が高額な資産を取得した場合、
一定期間、基準期間の課税売上が1000万円以下になっても
免税事業者に該当しなくなります。
それと合わせて簡易課税制度選択届出書が提出できないのです。
間違えポイントはここです。
→ 提出ができない!
→ ×簡易課税制度が適用できない!
条文をみてみましょう。
消費税法§12の4①
事業者(第九条第一項本文の規定により消費税を納める義務が免除される事業者を除く。)が、第三十七条第一項の規定の適用を受けない課税期間中に国内における高額特定資産の課税仕入れ又は高額特定資産に該当する課税貨物の保税地域からの引取りを行つた場合には、当該高額特定資産の仕入れ等の日の属する課税期間の翌課税期間から当該高額特定資産の仕入れ等の日の属する課税期間の初日以後三年を経過する日の属する課税期間までの各課税期間における課税資産の譲渡等及び特定課税仕入れについては、第九条第一項本文の規定は、適用しない。
※一部カッコ省略(以下同じ)
→ 確かに高額資産を取得した場合は免税事業者を一定期間適用しないとだけ触れています。
では、簡易課税制度選択の規定は
消費税法§37
①事業者(第九条第一項本文の規定により消費税を納める義務が免除される事業者を除く。)が、その納税地を所轄する税務署長にその基準期間における課税売上高が五千万円以下である課税期間についてこの項の規定の適用を受ける旨を記載した届出書を提出した場合には、当該届出書を提出した日の属する課税期間の翌課税期間以後の課税期間については、第三十条から前条までの規定により課税標準額に対する消費税額から控除することができる課税仕入れ等の税額の合計額は、これらの規定にかかわらず、次に掲げる金額の合計額とする。この場合において、当該金額の合計額は、当該課税期間における仕入れに係る消費税額とみなす。
一 当該事業者の・・・・・
二 当該事業者の・・・・・
基準期間の課税売上高が5,000万円以下で、簡易課税選択の届出を提出した場合には、
以下の課税仕入れ額だと!規定しています。簡易課税の独特な計算根拠はここで出てきました。
ここに高額資産取得の場合『除く規定』があれば、適用できないとなるのですが
そのような規定が見つかりません。
同条③の規定です。嫌な予感がします。笑。
③第一項の規定の適用を受けようとする事業者は、次の各号に掲げる場合に該当するときは、当該各号に定める期間は、同項の規定による届出書を提出することができない。ただし、当該事業者が事業を開始した日の属する課税期間その他の政令で定める課税期間から同項の規定の適用を受けようとする場合に当該届出書を提出するときは、この限りでない。
一 当該事業者が・・・・
二 当該事業者が・・・・
三 当該事業者が第十二条の四第一項に規定する場合に該当するとき(前二号に掲げる場合に該当する場合を除く。) 同項に規定する高額特定資産に係る同項に規定する高額特定資産の仕入れ等の日の属する課税期間の初日から同日(当該高額特定資産が同項に規定する自己建設高額特定資産である場合にあつては、当該自己建設高額特定資産の同項に規定する建設等が完了した日の属する課税期間の初日)以後三年を経過する日の属する課税期間の初日の前日までの期間
届出が提出できない規定が出てきました。
適用できない規定にはなっていません。
つまり、三で一定期間、簡易課税制度選択の届出が提出できないとしています。
もし簡易課税制度選択の届出が取得事業年度より前に提出されていたら
その翌年に基準期間の課税売上によっては簡易課税制度が適用される場合もあるとなります。
ここからわかるように、立法側は取得時以降において簡易課税制度の選択を制限したのです。
タックスプランニングの阻止は、それより前に選択届出をしている場合を想定していないか、
もしくは想定外だったのでしょう。
計画的に簡易課税を選択して高額資産を購入するなんて確かに難しいかと思いますが・・・
ちょっとプロ向きで難しいお話でした。
同業者の顧問もしております。
何かありましたら、ご相談下さい。
“ Defend desperately & Keep Attacking ”
SAS Tax Artist Office
租税訴訟補佐人税理士
TaxArtist® 水島 洋之