判決を読むことの重要性
あけましておめでとうございます。
新年一発目は私のライフワークでもある
判例研究について触れようと思います。
税務はやはり判決を読まなければ、
本当の税法の理解に辿り着けないと私は常々感じます。
実務本を読んでもそれは全部に当てはまるとは限りません。
裁判の「事実の概要」を把握し、自分のケースに当てはめないと、
正しい判断に及ぶことは不可能でしょう。
この「当てはめ」で私はご飯を食べていると言っても
過言ではありません。
例を挙げますと、昨年ざわつかせた プロラタ計算 の東京高裁判決。
一般の方やこの裁判を知らない方には難しいお話になりますが、
「総会決議が同日」であることが重要なポイントになっています。
ここを一番に表現しないといけないのにどうでしょう?
勝った敗けたが大々的に表現され、
この税務上の取り扱いが変わるかのように?
もしくは今後はこのような計算が出来るかのように…
税務上の取り扱いが変わると多くの方は思うことでしょう。
確かに最高裁判決の重さ(拘束力)はありますが、
どの部分が拘束されるのか見極めなければなりません。
つまり何を基準に判断したのかをよくみないといけません。
今回のプロラタ計算の最高裁判決が、
例え下級審判決同様に納税者が勝ったとしても、
理に適ったプロラタ計算方式の本質は変わらない
個別事案判決 として扱われると私は考えます。
同族会社の行為計算の否認が発動される可能性は十分あるでしょう。
※高裁までは 拡大解釈 が判決の焦点になっていますが・・・・
また判決を読むと、ほかに
「定義」や「立法趣旨」に触れられ、
立法当時のその時代背景や
該当する法令の考え方が本当によく学べます。
金子宏「租税法」有斐閣 を読むのと
同じぐらいの学習効果が得られることでしょう。笑。
そして「定義」は過去の判決が採用されます。
つまり、いろいろな判決を読んでいると
同じ言い回しに本当によく出会います。
裁判を読んでいる者であれば
今回はこちらの判決の「定義」を採用したんだ・・・・
このあたりは普通にわかることでしょう。
先日、このような質問がありました。
最高裁で×となったこの取引ですが、
やはり、うちがこのように処理するのは × ですかね?
会計士先生もグレーと言うんです・・・・
私はその判決を読んで、
迷わず 〇 ですと回答しました。
判決の焦点とお客様の焦点は異なるものでした。
判決読めばすぐわかります。
このようなことは日常的に本当によくあります。
立法が想定していない取引は裁判でしか回答が出ません。
それを考えると税理士には判断の限界があります。
正しくそのことをお客様に説明することが
税理士には求められている気がします。
私、顧問業務では常に「当てはめ」してます。
そんな税務顧問、いいと思います。
ご面談しませんか?
本年もよろしくお願いします。
“ Defend desperately & Keep Attacking ”
SAS Tax Artist Office
租税訴訟補佐人税理士
TaxArtist® 水島 洋之