今回は地方税のお話になります。
FBにて記事にしたものが
想いのほか反響がありまして!
資本金が1億円を超えますと
外形標準課税が課されます。
法人事業税、つまり、地方税法の括りになります。
この対象が資本金である為
設立時の出資や増資により
資本金が1億円を超えたものを
無償減資で会社法上は資本金を
減額することが可能なのです。
少し難しいお話をしますと、
無償減資は税務上の『資本金等』には
影響を与えません。変動しないってことです。
※欠損填補の説明は今回は省略。
よって書きになりますが、
増資後の無償減資にて、
一瞬で1億円以下に資本金の額を
減額することが可能なのです。
資本金が100億円あってもです。
ここで私の出番です。
地方税法にはこんな規定があります。
地方税法§72の43
道府県知事は、第七十二条の四十一又は第七十二条の四十一の二の規定により課税標準額又は事業税額の更正又は決定をする場合において、同族会社の行為又は計算でこれを容認した場合には事業税の負担を不当に減少させる結果となると認められるものがあるときは、その行為又は計算にかかわらず、道府県知事の認めるところにより、当該同族会社の課税標準額又は事業税額を計算することができる。
つまり、地方税法版、同族会社の行為計算の否認規定になります。
伝家の宝刀なんていわれます。
知事により、はい、不当に地方税減額!アウト!
ってひっくり返すやつです。
法人税法での訴訟からこの法令が発動されるポイントは
➀事業税の負担を不当に減少
➁租税負担の公平
➂取引が純粋経済人としての合理性
この辺じゃないでしょうか。
私が把握しているところでは
増資時に外形にかからないように、
増資部分とはわけて、一部は借入金にして、
1億円を超えないようにしている会社もあります。
しっかり利息を計上して、返済をしています。
ある上場企業では先例として
外形外しのための減資を既に実行したところが話題になりました。
減資の理由が『外形はずし』と宣言したからです。
これについて課税されたとは聞いておりません。
そもそも同族会社ではありませんので、税務否認できる法令がありません。
→ 当然ですが、同族会社の外形はずしは、上場企業同様に
課税リスクがないと判断するには早すぎます。
私見を述べます。
結論を先に申し上げますと、可否の断定はできません。
回答がないってやつです。
参考にするのは法人税法上の上記➀~➂です。
私見➀
今までは地方税が前に出て、行為計算の否認ってありません。
国税に影響を及ぼすことになります。
しかし、この規定が国税に影響を及ぼさず発動できるのは
欠損会社が行う外形はずしの無償減資ぐらいしか
私は思いつきません。欠損会社限定ですが。
私見➁
また、上場企業は開かれた株主総会にて決定されます。
同族会社や大法人の子会社なんかは閉鎖された世界で決定が可能です。
過大役員報酬の否認事例は上場会社では皆無なのに
同族会社においてはたびたび否認されています。
開かれた株主総会と株主に対する役員の責任の大きさがあります。
私見➂
計画された増資&減資 → 外形標準外しのため
租税負担公平 → 同族会社で増資時に外形に該当しないように、
一部借入金にてしているところもある。
純粋経済人としての合理性 → 増資&減資 → 本来の増資・減資の意義目的
よって、外形はずしの意図的な無償減資は
地方税法の行為計算否認規定が発動される余地があると考えます。
問題は法人税法等の行為計算の否認規定と同様に
租税法律主義による納税の予測可能性や法的安定性の確保と
既に無償減資の先例が少し多いのでは?今さら的な感じもありますが・・・
税務の世界では、答えがでないものがあります。
『答えがない』という答えが出せることも難しい話なのです。
是非ご相談下さい!
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SAS Tax Artist Office
租税訴訟補佐人税理士
TaxArtist® 水島洋之