通達 って?
どんなことが書いてあるのですか?
税理士は 通達 ってやらに
支配されているのですか?
法人税法には基本通達や個別通達など
相続税法には基本通達や財産評価基本通達など
各法令には 通達 といわれるものがあります。
最初にある裁判の判旨を抜粋します。
『通達とは、上級行政機関がその内部的権限に基づき、
下級行政機関及び職員に対して発する
行政組織内部における命令の
成文の形式のものをいうにすぎず、
行政機関が通達によつて法令の解釈等を
公定し得る権限のないことは明らかであるから、
通達それ自体を国民の権利義務を
直接に定める一般的抽象法規範、
すなわち、法規であるということはできない。』
うん~ うん~ 難しい表現をしていますが・・・
通達とは ⇒ 上級行政機関の行政組織内部の命令!
誰に対して? ⇒ 下級行政機関及び職員に対して!
あくまでも法規ではないと!
税務職員は、原則、この命令に
従わないといけないってことですよね。
税務職員は 通達 に縛られているってことです。
明らかに内部規定ですよね。
まぁ~、通達ってやらはどんなことが
書かれているのか一つみてみましょう。
法人税基本通達7-3-5
『法人が土地、建物等の取得に際し、
当該土地、建物等の使用者等に支払う
立退料その他立退きのために要した金額は、
当該土地、建物等の取得価額に算入する。』
細かく取引の扱いについて指示していますね。
初めてみた方は驚いたのではないでしょうか?
税計算するための取引の扱いが通達に書かれています。
これ法令ですよ!内部規定って!
私は率直に思いましたけど。笑。
判旨は「形式のものをいうにすぎず、
法令の解釈等を公定し得る権限がない」
っていっていますが、
税理士はこれにあえて逆らうことが
出来ますかってことです。
これと異なる扱いで税計算した際は、
税務調査で × ってことになりますよね。
私からすれば、異なる扱いにて税計算するのは
ただの イージーミス ですよね。
通達を知らなかったことで起きた事故ですよ。笑。
今回のタイトルの意味がわかりますよね?
さすがに支配されていますよね。
法令の解釈を公定しない触書に!笑。
ただ、この点について、発想を変えて考えてみると、
通達は実務では大変助かっているのではないかと?
法令だけで解釈できない事象ってたくさんあります。
税務職員への命令である 通達 を把握し、
それに則して税計算すれば、
税務調査で × にならないってことになりませんかね?
原則ならないでしょうね。
なので、実務をスムーズに遂行する上で
立法立案側(上級行政機関)の考えに則して
通達 を把握することが
納税者の為にも肝心なことなんだと考えます。
くだらないロスは必要ないのです。
ただ、判旨でも指摘しているように
『解釈を公定し得る権限がない・・』
と指摘しているように絶対ではありません。
租税法の基本原則である租税平等主義に違反するような場合には
通達 と異なる扱いをしなければならないこともあるのです。
租税裁判を研究していると、このことは良くわかります。
納税者は都合良く、通達を利用してはいけないってことなのです。
つまり、法令を十分理解した時に
初めて 通達 にモノ申せると考えます。
通達を巡る面白いお話はたくさんあります。
いつでもお話できますので
興味があれば、お尋ね下さい!
SAS Tax Artist Office
租税訴訟補佐人・税理士
水島 洋之