今日はある裁決事件について触れます。
消費税ですよ。なかなか反対意見することがない税目です。
令和06年06月11日裁決は私にとって衝撃でした。
裁決の内容というよりも、
平成10年に国税庁がバス路線の運行維持のための補償金で
赤字の既存路線維持のため、予想される赤字額を補填する補償金は
交付する補償金とバス会社の役務提供との間に明白な対価関係がないので
消費税の回税対象外と回答しているからです。
地方バス路線の大半は
国、都道府県、市区町村(もしくは市の団体)の
いずれかが支援者となって、補償金の対象としています。
説明を加えますと、原則、路線の距離、本数、収入などによって、
国(国土交通省) → 県 → 市 というように支援者が変わります。
また、各自治体は策定が努力目標ではありますが、
地域住民からヒヤリング、公共交通関係の実態調査した報告書があります。
これを●●県・市地域公共交通(地域公共交通網形成)計画という名称のもので、
これを基に補助対象路線及び補助対象本数を反映する根拠としているのです。
この計画を策定する意味は?自治体がこの計画を策定することで、
国からの補助金が得られるようになっているわけです。
なので、多くの自治体で策定したこの計画をネット上でみることができます。
裁決事件でも出てきます。この計画云々が・・・・・
つまり、何を言いたいのか?
地方バス路線運行維持の補償金はこの国土交通省のやり方に沿って
長く自治体などで運用されてきたわけです。
自治体毎で独自の支援をしてきたわけではなく、
国の政策で機械的に降りてきた補助対象路線を自治体は
国土交通省のガイドラインにのせて対応しているのが現状です。
更に、補償金の計算方法もこのガイドラインによって
統一された詳細な単価計算により赤字補填方式が採用されているのです。
※赤字補填方式以外では、委託契約によるものがあり、これは消費税表記あり。
この補償金が国税庁に照会されて、不課税回答になったと考えらえます。
なぜ?地方バス路線運行維持の補償金はこれしかないからです。
赤字補填方式も国土交通省のガイドラインそのものです。
今回の裁決事件をよくよく整理しますと、
拘束性がない個別事案であると、私個人的には思っています・・・・・
重要なポイントは、もともと市がやっていた赤字路線を、
民間のバス事業者が引継いだところです。ここが個別事案かと。
それであるため、市が管理しているような状況になっています。
この路線は、前提として地方公共交通網形成計画に基づいて、
運行されていた2路線うち、
①市所有のバスを使っていた補助対象路線と、
②もう一つは、バスを持ち込んで運行していた補助対象路線です。
①は消費税なしは何となくですが、難しいかな~?と思いますが、
→ ただ市が補助の方法を独自で決めることなんてできないですよ。
だから国土交通省の補助に当てはまるように準用したんですよ。
結果的に同じ補助金だと思いますよ。
②は納税者、顧問税理士にとっては不運でしかないです。
地域公共交通計画の基づいて・・・・みんな同じです。
計算方法も国のガイドラインに従った同じものです。
バスも持ち込みです。隣町のバス路線運行維持の補助と同じですよ。
まぁ~、鼻息が荒くなります。
同じ計算方法で、監督官庁も同じ、同種の補助金が
課税のものと、不課税のものが世にあったらどうでしょう?
私は率直に課税でもいいと思いますが世の中に消費税を納めているバス事業者と
納めていないバス事業者が混在していることが問題だと考えるわけです。
公平な市場競争が消費税で歪められていませんか?
金額が大きいんですよ。バスの補償金って。10%が変わったら致命的です。
それでいて、そもそも大赤字なんですよ。路線バスの大半が。
でも国家政策で住民の生活を守るために、維持することになっているわけです。
あとは、税理士はバス路線運行維持補償金、赤字補填方式と調べて、
国税庁の不課税回答をみたら、逐一、役務提供の内容なんてみませんよ。
いろいろな監督官庁が補助をしているのであれば、検討しなければ、危ないですが、
バス路線はこれしかないんですよ。経産省の補助なんてないんですよ。
国土交通省一択です。
課税事業者が経産省の事業再構築補助金が課税か否かが、裁決のようになったら
誰か声上げるでしょ!税理士だってかなり文句言うでしょ!
まぁ~、円滑な税務行政を目指しているのであれば、
国税庁はこの裁決からバス路線運行維持補償金の扱いを
説明してもらわないと・・・・・現場が混乱しますよ。
路線バス運行維持補償金はこのような場合に不課税になると!
実際の市区町村の事例を具体的に出してもらわないと・・・・・
興味があれば、ご照会下さい。
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租税訴訟補佐人税理士
TaxArtist🄬水島洋之