昨今の日本は人口が減少して
出生率が東京で1を切ったわけですから
相続法的には 法定相続人なし 時代が
近くやってくることは間違いありません。
今後、想定されることは、
遺言等で一部財産を取得する相続人(被相続人に指名された者)と
自ら意思表示して家庭裁判所で『特別縁故者』に審判確定された者の
相続が日本で主流になることでしょう。
ここで、私の出番になりますが、
このような相続になった場合、
相続税法はどのようになるのか?
つまり、相続税申告はどのようにするのか?
が税理士の分野になるわけです。
他人が自ら意思表示して、家庭裁判所での審判を仰ぐぐらいの
財産を所有している被相続人であることが想定されますので、
相続税額も大きなものとなることでしょう。
相続税法§4①
『民法第九百五十八条の二第一項(特別縁故者に対する相続財産の分与)の規定により同項に規定する相続財産の全部又は一部を与えられた場合においては、その与えられた者が、その与えられた時における当該財産の時価(当該財産の評価について第三章に特別の定めがある場合には、その規定により評価した価額)に相当する金額を当該財産に係る被相続人から遺贈により取得したものとみなす。』
これが特別縁故者の唯一の規定になります。
申告実務としまして、
遺言で財産を取得した相続人が当初申告をして、
審判確定した時点で、当初の相続人と特別縁故者での
修正申告をすることになります。
その上で、この法令のポイントは
①与えられた時における当該財産の時価
②遺贈により取得したものとみなす
解説
②により、通常の相続と同じようにと擬制したわけです。
※本来は遺贈ではないけれども・・・・
家庭裁判所での手続きを経て決定した、
特別縁故者の財産取得を 通常の遺贈 としました。
→ この規定から通常の相続税の申告と同じということになります。
①がインパクトがあるんですよ。
遺言による財産取得は「被相続人の死亡時」の財産の時価で
評価して当初申告をしますが、
特別縁故者は、家庭裁判所の「審判確定日」の
財産の時価により評価して修正申告をするわけです。
相続税法上の評価時点は「被相続人の死亡時」以外は
この特別縁故者による財産取得の場合のみになります。
②で通常の相続、「被相続人の死亡時」に財産を取得としているのに
①で評価時点は、家庭裁判所における「審判確定日」としたことで、
遺言で財産を取得する相続人と特別縁故者の取得財産は、
一つの修正申告の中で、評価時点が異なる財産が混在し、
税額が算出されることになっているのです。
以下、私見
うん~~、平仄が合わないんです。
相続税法上の遺言相続の考え方的にも、
法定相続分遺産取得課税的にも・・・・・
そもそも、法定相続人なし は
改正前は財産は国家の帰属になっていたわけです。
この制度を改正して、民主主義国家らしく、
国民感情を汲んで相続税収入を政治は選択したわけです。
一つの財産の流れと課税でみれば、
所得税が課せられて、その補完として相続税があるわけです。
この場合に限り、所得税 → 所得税(財産移転時)
でもいいと思いますけど。
つまり、一定期間経過した死亡退職金支給時のように
一時所得課税でも良いのでは?
国家として、所得税収入でも相続税同様に回収ができます。
この考え方は、相続財産法人から贈与されたとなるので、
法人からの特別縁故者個人への贈与は 一時所得 ですので、
税法の体系からしても、平仄が合うわけです。
また、事例を挙げれば、遺言で
「死後5年後に子供が誕生していれば、家を譲る」
というような民法上で 期限付き遺贈 というものがありますが、
これは相続税の申告では、相続税法基本通達内の注書きにて、
評価時点は、「被相続人の死亡時」としています。
特別縁故者も期限付き遺贈も死後の財産の取得という意味では
同じなのに、特別縁故者だけは、評価時点が異なっているわけです
どうしても、相続税としての課税を譲れないのであれば、
遺贈と擬制した以上、評価時点を「被相続人の死亡時」に
しなければ、遺言で取得した相続人や上記のような
期限付き遺贈により取得した相続人らとでは
評価時点で平仄が合わないことが明白になっています。
このような法令の問題は最高裁判決もしくは
税制改正でのみでしか、解決が図れません。
日本の現状を踏まえて、相続税法上の
今後の大きな問題と考えています。
特別縁故者の相続税申告!
得意としています。
ご興味があれば、ご照会下さい。
全国対応していますので。
租税訴訟補佐人税理士
TaxArtist🄬水島洋之