先日、臨時号で税制適格ストックオプションに触れましたが、
その後、早速、税制適格ストックオプションの
セカンドオピニオン業務の依頼がありました。
今回のストックオプション制度が
事前にどんな内容かわかりませんでしたが、
ご指名を頂きましたので、有難く受けることにしました。
弁護士やコンサルが事前に入って設計したとのこと。
最初から税理士がいないのが寂しいですが・・・・
話題の信託型なのか?
新しいスキームなのか?
国税庁のQAで当てはめられるのか?
こちらは 不安 はありますよ。
だって、まったく回答が出せないものだったら?
こちらの存在意義を出せるのか?って思いますよ。
税金の世界ってこんなもんです。
回答出ないものたくさんあります。
ただ時価の検討は、今回は含まないことにしました。
依頼者側はあくまでも税金の素人です。
このような判定業務はどこまでが税理士の範囲なのか?
どのような時に、どの部分に税務上の問題が起こるのか?
最初に明確にお伝えすることが大事だと感じます。
今回はドラフトの契約書と要項がありました。
事前にヒアリングをして、これらを措置法との
当てはめをしました。
契約書や要項で記載がないと適格要件を
満たさないものってあるんです。
その部分の指摘がありました。
書面のルールはどうするのか?
当然、エビデンスは法令です。
法令で指摘をする作業となります。
一つだけ、当方の事務所内のインフラでは
解釈が出来ない規定がありました。
租税特別措置法§29の2①
『六 当該新株予約権の行使により取得をする株式につき、当該行使に係る株式会社と金融商品取引業者又は金融機関で政令で定めるものとの間で「あらかじめ」締結される新株予約権の行使により交付をされる当該株式会社の株式の振替口座簿への記載若しくは記録、保管の委託又は管理及び処分に係る信託に関する取決めに従い、政令で定めるところにより、当該取得後直ちに、当該株式会社を通じて、当該金融商品取引業者等の振替口座簿に記載若しくは記録を受け、又は当該金融商品取引業者等の営業所若しくは事務所に保管の委託若しくは管理等信託がされること。』
※カッコ書き省略
→ 「あらかじめ」 でひっかかりました。
新株予約権が行使された場合の株式の管理を金融取引業者等と
契約を「あらかじめ」しなければならないことが
文理上でわかりますが、この「あらかじめ」は、
①制度導入時から必要なのか?
②それとも新株予約権の行使寸前で良いのか?
私が所有している実務本には一切出ていません。
もちろんGoogle先生でもヒットしませんでした。
えーーーー こんなことたくさんあるんじゃないの?
税金(税制適格)の判断は税理士の私であり、
弁護士先生でもコンサルタントではありません。
少し報告予定日を超えましたが、
時間を頂戴して、図書館で最後の調査を致しました。
当該措置法の立法時の背景やその後の沿革を調べました。
出ましたよ!ここで。
この制度は平成08年に創設されていますが、
平成10年改正時に日本証券業協会が
国税庁への事前照会をしていました。
ど真ん中の質問と回答を見つけられました。
おいおいおいおい 税金の実務本!
なぜ、こんな大事なことが触れられていないの?
税理士はこのような設計に携わらないから?
証券会社やコンサル会社では当たり前のことなのか?
私の調べ方が悪いのか?条文解釈が悪いのか?
もし図書館で回答が出なければ、「あらかじめ」を
私の解釈で判断しなければならないって重すぎますよ。
まぁ~、回答が出せて、何とか着地できました。
契約や要項に税理士の意見も追加できました。
また弁護士先生からも私の報告内容に意見を頂戴しました。
両者、会社の制度設計にお役に立てたと思います。
あとはこの会社様が上場して、
新株予約権が行使されることを
楽しみにしています。
税金(税法)のことは税理士が生業なので、
税理士に質問するべきです。
会計士先生でも弁護士先生でもありません。
なので、税制適格の判定は税理士の私がやります。
他の士業の先生に取られたら悔しいじゃないですか。
そう思って、日頃、仕事に取り組んでいます。
興味があれば、ご照会下さい。
税法のことなら頑張りますので。
租税補佐人税理士
TaxArtist®水島洋之