交際費は申告書作成者のレベルを表わす!?

税金の仕事は法律そのものに向き合わなければ
正しい理解ができないとつくづく実感します。

交際費なんて代表的な規定だと思います。
大会社は交際費なのか?宣伝広告費なのか?
寄付金なのか?で所得が異なります。
取引先に贈答するカレンダーがいい題材です。
贈答なので、原則、『交際費』です。
措置法では交際費から除くものを政令委任しています。
その政令では カレンダー を指定しています。
監査法人の監査を受け『交際費』で承認を受けました。
ここからが税理士の職域になります。
交際費の申告書別表十五で会計の『交際費』の金額を転記します。
ただ、この中にはカレンダー代が含まれています。
法令では交際費から除くとしていますので、
別表内で除かれるものの欄があります。
ここでカレンダー代などの金額を控除することになるのです。

何を申し上げたいか?

別表の形式が法令通り作られているってことです。
交際費から除くとあります。
つまり、会計・税法が 交際費 なんだけど、
交際費から『措置法』が除くと言っているのです。
この法令に直接触れていないと、
カレンダー代が『広告宣伝費』として
処理することになるでしょう。
法令の流れの処理とは異なりますが、
所得は一致していますので、
修正申告や更正の請求の対象にはなりません。
結果、両者、合っているってことです。

人によっては小さなことで所得が正しければ、
つまらないことかもしれません。

でも、よく考えて下さい。

大会社の監査法人は交際費で承認したのです。
それを法令通り別表を作らざるを得ません。
措置法を知らなければ、交際費のままスルーすることでしょう。
納税者が税金を多く負担する分には税務調査では
原則、指摘されませんので問題にもならないでしょう。
でも、法令通りの申告書を作ろうとすると中小企業でも
会計は広告宣伝費ではなく、交際費にして、別表で除く処理をして、
初めて、会計・税法すべてが正解になります。

中小企業の税務が正しく作成できない者は
大企業の税務も当然対応できないってことです。
交際費の処理が申告書作成者のレベルを顕著に表すと感じます。
法令をみた人なのか?会計・税務を理解しているのか?

税理士はこのようなことを真摯に積み上げることが大事だと考えています。
これを省略する者はいずれ税務事故を引き起こすことでしょう。
ただ、日頃、法令と真摯に向き合っていても間違えることがあります。
まさしく 聖域 です。
間違わない者になれるように、納税者に喜んでもらえるために、
もっともっと法令に真摯に向き合うしかないってことです。
私はこのような恐ろしい世界を生業としていると常に戒めています。

興味があればご相談下さい。
税理士登録した時にこの聖域に覚悟しました。

SAS Tax Artist Office
租税訴訟補佐人税理士
TaxArtist®水島洋之