意外に多くの納税者は知らないと思います。
役員給与をもらいすぎると ダメ って言われること。笑
役員給与で最も大事なのは、今回は触れませんが
そもそも 原則は 損金不算入 であることです。
専門的にいえば 別段の定め の一つです。
これはもっと知られていませんね。笑
それをあえて納税者が 損金算入 になるような例外を
選択しているので、ここに損金算入のハードルがあることが
ご理解頂けると思います。
つまり ダメ って言われることが
原則であるってことです。笑
この分野は専門家からしたらクラシカルな研究分野であり
裁判も論文も多く積み上がっている分野ではあります。
だからこそ、実務の現場では事前にアドバイス
しやすい項目ではありますかね。
この説明をしますと多くの納税者は理解ができないとなります。
自由な国でもらいすぎって何だと?
→ もらってもいいんですが、税金がかかるんです。
カルロスゴーンはいったいいくらもらってたんだ?
→ 上場企業ですし、これから否認されると思いますが。
上場以外の企業は仕方ないですかね?
このような法社会なんですから、
それと付き合っていかなければならないわけで、
このように大衆の理解が得られないからこそ、
役員退職金の訴訟も多いのだと感じます。
私は訴訟を専門とする税理士ではありますが、
当事者や会社にとって勝ち負け以外で
何も税務訴訟では生み出さないどころか
本業以外で長く時間とコストがかかり、
疲弊すると考えていますので、
争わないで納税者の意向をなるべく酌めるように
考えて提案しております。笑。
そのためには訴訟を知らないといけませんが。
役員退職金には形式上の規定が意外にあります。
もちろん会社法上の手続きも必要となりますし、
税務上の損金の計上時期や現場では源泉所得税や
住民税の準備が必要になります。
もちろん役員給与も手続きは同様に大事ではあります。
あとは本質的に重要なのは、退職金は役務提供の
後払いの性格を有しているってことです。
引当金って考え方がしっくりきますね。
さて、ここで条文をみてみましょう。
法人税法§34②
『内国法人がその役員に対して支給する給与の額のうち不相当に高額な部分の金額として政令で定める金額は、その内国法人の各事業年度の所得の金額の計算上、損金の額に算入しない。』
※筆者カッコ書き省略
※上記給与には、同条①により原則、退職金を含みます。
出ましたね。不確定概念
『不相当に高額』 → いくらが高額?
この規定が、多くの争いの一丁目一番地ですね。
まさしく事件の現場となりますかね。
でも法律って難しいです。様々な業種や規模の会社がありますから
成文ではっきりした金額を定めることは・・・・無理でしょうね。
万人に適用させるものでありますから、このようなあやふやな
規定は法令では必要であると私は考えます。
役員退職金は通達から
損金算入額 = 最終役員報酬 × 在任期間 × 功績倍率
が現場では一人歩きしていると感じられます。
退職金が不相当に高額と判断される時は、
平時の役員給与の後払いの性格ですから、
役員給与の 不相当に高額 も同時に争われます。
当然ですよね?最終役員報酬に対して掛け算しているわけですから
そこを普通に検証するところからって考えられますよね。
あとは功績倍率でしょう。なかなかこの倍率は高すぎるって
実務家からしたら勇気がいりますから、
最終の給与を操作するところで退職金の額を計画をすることでしょう。
まぁ儲かり過ぎている会社だからこそ
このような事が問題になります。
こちら側からすれば、歴史があり積み上がっている
役員報酬の損金の範囲がある程度基準がみえていますから、
税理士はいくら退職後に必要なのかをヒアリングして、
その意向をどのような形で酌めるのか?を
検討した方が賢いと考えますがね。
退職金1本で博打に出る必要ってありますか?
大概は同族会社なんですよ?
いろいろなアレンジの提案が山ほどあると思いますが・・・
ちなみに私のお客様になりますが
ヒアリングした結果、存命中は退職しない
という結論になりました。
私に会計事務所が変わり、いろいろな外野からの提案で
社長が退職金退職金となって相談してみたところ、
それが実際には適切ではありませんでした。
別に固定概念に縛られる必要はありません。
後継者からも了承を得られましたので、
今も会社に出社して、社長業をやられています。
それ以降、この相談は一切ありません。
もやもやが晴れたのでしょう!
こんなこと現場にはいっぱいあります。
それぞれの個人の事情は異なりますしね。
何事も話してみなければわかりません。
ぜひご相談下さい!
何か、へぇ~ってことありますよ!笑
SAS Tax Artist Office
租税訴訟補佐人税理士
TaxArtist®水島洋之