条文の誤り?私が読めないのか?

最近、政府法案の条文で誤りが野党に指摘され、
担当者が処分を受けた記事をみました。

私も日頃、条文に接していると
これ間違いじゃない?ってものに出くわします。
今回は私が法律家の端くれであることを読んで頂けた方に
ご理解頂けたら幸いです。笑

Q 電子申告が強制されたのですが、減価償却に関する別表の記載が
 合計額だった場合、別途詳細な明細書添付は必要ですか?

法人税法施行令63
①内国法人は、各事業年度終了の時においてその有する減価償却資産につき償却費として損金経理をした金額がある場合には、当該資産の当該事業年度の償却限度額その他償却費の計算に関する明細書を当該事業年度の確定申告書に添付しなければならない。
②内国法人は、前項に規定する明細書に記載された金額を第十三条各号に掲げる資産の種類ごとに、かつ、償却の方法の異なるごとに区分し、その区分ごとの合計額を記載した書類を当該事業年度の確定申告書に添付したときは、同項の明細書を保存している場合に限り、同項の明細書添付を要しないものとする。

法人税法施行令67
①内国法人は、各事業年度終了の時の繰延資産につき償却費として損金経理をした金額がある場合には、その繰延資産の当該事業年度の償却限度額その他償却費の計算に関する明細書を当該事業年度の確定申告書に添付しなければならない。
②内国法人は、前項に規定する明細書に記載された金額を第十四条第一項各号に掲げる繰延資産の種類ごとに区分し、その区分ごとの合計額を記載した書類を当該事業年度の確定申告書に添付したときは、前項の明細書を保存している場合に限り、同項の明細書添付を要しないものとする。

※上記法令、カッコ書省略

私は意外に読みにくい条文だと感じます。
§63は減価償却資産償却の規定。§67は繰延資産償却の規定。
なぜ?「明細書」の定義がないからです。
言葉通り 詳細・内訳 という意味での明細書なのか?
もしくは、別表 = 明細書 と置き換えるのか?
私は最初迷いました。

Qは詳細・内訳という意味の明細書の添付についてだからです。

この条文だけでは迷いますが
国税庁のHPには、この条文の説明があります。
結論は 明細書 → 別表 になると言っています。
HPで補足しているので、条文の『明細書』は
文理通り 詳細・内訳 って意味でしょう。
法令って面白いと思いませんか?笑
この説明を事前に触れていると理解がスムーズです。

問題は各法令の②です。
迷宮のど真ん中になりました。
合計額を記載した書類を添付した時・・・・

今度は『書類』が出てきました。
こちらもHPに説明があります。
→ こちらの『書類』は別表の形式に当てはめて下さい!
なるほどなるほど、ってなるのですが、
ここで何か気付きませんか?
§63②は 『同項』の明細書を保存している場合・・・・
§67②は 『前項』の明細書を保存している場合・・・・

結論から言えば、法令は両者正しいです。
ポイントは黄色にしましたが、直前に出てくる法令です。
§63②は各号、§64②は第一項各号。
その後に『同項』と『前項』と異なる表現になっています。
当初、私は黄色の指定している法令がひっかからなかったので、
法律が間違っている?と思ったのですが・・・・
同項』『前項』が何を指しているか?
両者、青字の『前項』を指したいのです。
黄色の違いは『項』の有無です。
直前に『項』がでていますので、後に『同項』と謳うと黄色を指します。
つまり、青字を指さなくなります。
恥ずかしい読み間違えをしました。

本題に戻りますと、減価償却の内訳書が保存されているのであれば、
別表は合計額の記載で結構ですという規定になりますかね。
原則通り別表が詳細であれば、その内訳書の保存は不要となりますかね。笑
完全な言葉遊びですね。

よって書きになりますが、
Qに対するAは 不要 ですかね。

日常的に法令と向き合っています。
要しない、しなければならない、差し支えない、
言葉尻が大事な世界です。
まったく意味が異なります。

法律家というと恐縮なので、
税法家あたりで日頃やっています。
回答に根拠を追求しております。
ぜひご相談下さい。

SAS Tax Artist Office
租税訴訟補佐人税理士
TaxArtist®水島洋之