好評につき!外形標準課税はずしの無償減資を考える その2

以前、この寄稿がもとで内容照会や
減資のご依頼がいくつかございました。
当方の記事を参考に頂きましたこと
心から御礼申し上げます。

今回は続編として、減資の意義目的について
少し蘊蓄を加えることにしました。
会社法の視点からの説明を加えることにします。

下記の前提は 資本金の減少 に限定してお話しします。
※資本準備金の減少の説明等は省略

会社法の視点で減資をみた場合
会社法§309②九イロでは、原則として
減資は株主総会の 特別決議 が必要と定めています。
ただし、カッコ書きにおいて、
定時株主総会における欠損填補の決議であれば
普通決議 で足りるとしています。

また会社法§449①において、減資時において
債権者に対して異議申し立てを担保しています。

通常、減資による欠損填補は、財務改善をして
将来に株主への剰余金の配当を
早々に可能とすることを目的としています。
会社法はこれに対しては 普通決議 で足りると
ハードルを下げています。
株主への影響が少ないからでしょう。

ただし、欠損填補を超える額の減資については
特別決議 が必要とされています。
これは明らかに次の流れとして
株主への剰余金の社外流出を意識したものであり、
より多数の株主の賛成があれば、
その減資を認めるというものです。

対債権者について
会社法は減資の際は異議申し立てを担保し、
分配可能額を法定することで、株主と債権者の
利害調整する機能を有しています。

これらの会社法の規定から、減資の意義目的が理解でき、
更には会社法は何を想定して、何を規定したかが把握できます。

減資についてのまとめです。

減資の意義目的は
①早々に将来の剰余金の処分を可能とすること(欠損填補)
②株主への財産の払戻(欠損填補を超える減資)
③企業再生(増資減資)※今回は説明省略

→ そこで減資とは、上記①②③の目的達成の為、
株主から拠出された法的に維持拘束性のある
元本部分を取り崩すと考えるのが妥当でしょう。

→ そこで会社法は、減資は株主への剰余金の処分を想定し、
株主間や株主・債権者間の利害調整を強弱をつけて規定しています。

どうでしょう?本題の外形はずしの無償減資!
会社法が減資で想定している何かがありませんね?減資したのに?
→ 会社法は上記②を想定しています。

よって

前回同様、外形はずしの意図的な無償減資は
地方税法の行為計算否認規定が発動される可能性があると考えます。

初めてお読みになった方へ
今回は会社法の観点から蘊蓄を追加したものです。
よって書きの結論は変わっていませんが、前回の記事もあわせて
一読頂けたら、私の主張の理解が深まるかと思います。

★★★★★
減資のスポット相談承ります。
会社毎に事情が全く異なります。
その事情により 税務判断 が異なります。
相談者の多くは事前に想定しているものと
異なった結果になっていると実感しています。
ある相談者は監査対応している会計士先生に
ご相談されたとのことでした。
これは明らかに税務申告を担当している税理士の分野です。
発動される行為計算否認規定は 地方税法 だからです。
前段の地方税の税務調査は、立ち合いにて
代理行為が許されるのは 税理士 になります。

SAS Tax Artist Office
租税訴訟補佐人税理士
TaxArtist® 水島洋之